企業の社内報は、単なる情報発信にとどまらず、従業員のエンゲージメントを高める役割を果たします。リクルートの「かもめ」は社員のリアルな声を基に企画し、UACJの「ALUMINIST」は組織統合の課題を支援、JFEスチールの「JFEスチールマガジン」は経営方針の浸透に貢献。これらの社内報の共通点や学ぶべきポイントを解説し、より効果的な社内コミュニケーションのヒントを紹介します。
リクルートの「かもめ」は、社内報アワードにおいて何度も上位受賞を果たしているほど評価が高い社内報です。その大きな理由の一つが、従業員一人ひとりの声を軸に企画が練られている点です。
具体的には、特集記事の中で「困っている社員がリアルな声を吐露し、それに対して先輩や管理職が具体的な対策を紹介する」といった構成を見かけることがあります。読者は「これ、自分も同じ状況かもしれない」と思い、その先輩のアドバイスを通じて視野が広がります。つまり、「読者の気づきから実際の行動へのきっかけ」を紙面だけで完結できる場をつくっているといえます。
次に取り上げるのは、アルミニウム総合メーカー・UACJの社内報「ALUMINIST」です。UACJは複数の会社が統合して誕生した経緯があり、異なる組織文化を融合するという難しい課題を抱えながらも、それを社内報が大きくサポートしてきました。
UACJは、旧・古河スカイと旧・住友軽金属の統合によって誕生しました。当然ながら、従来とは異なる上司や新たな職場に馴染む不安を抱えている社員が多かったといわれています。
3つめに紹介するのは、JFEスチールが発行する「JFEスチールマガジン」です。経団連推薦社内報審査で総合賞を幾度も受賞し、経営方針の浸透やコミュニケーション促進に大きく寄与していると評価されています。
社内報の役割として重要なのは、「経営トップからの方針や考えを、社員がしっかり理解できるよう噛み砕いて届ける」ことです。JFEスチールマガジンでは、トップインタビューや役員との対談を分かりやすく掲載しつつ、現場社員のコメントや成功事例もバランスよく紹介されています。
JFEスチールの社内報「JFEスチールマガジン」
について詳しく見る
キヤノンライフは、キヤノン株式会社が発行する月刊の社内報です。1983年以前に創刊され、紙・Web・動画を連携させた情報発信で、経営方針や社員の取り組みを伝えています。社内の一体感や企業理解を深める役割を担っています。
サントリーホールディングスの社内報「まど」は、経営層のメッセージや現場の声、海外拠点の活動などを通じて、社員同士の理解とつながりを深める社内コミュニケーションツールです。企業文化の醸成や業務改善、エンゲージメント向上にも寄与しています。
サントリーホールディングスの社内報「まど」
について詳しく見る
パナソニックグループの社内報『幸せの、チカラに。』は、2024年にリニューアルされたオープン型コミュニケーションマガジンです。経営メッセージや社員の取り組み、イノベーション事例などを発信し、社内外とのつながりを強化しています。
パナソニックグループの社内報「幸せの、チカラに。」
について詳しく見る
1991年に創刊されて以来、一度も休むことなく発行されている社内報です。ファンケルグループの全社員を対象に配布されており、社員の想いや取り組みを発信することで、グループ全体の共感と連携を育んでいるのが特徴です。
社員が主体的に関わる仕掛けを積極的に取り入れており、組織の文化づくりに貢献しています。
「社員が自社や仲間をもっと好きになること」を目的に発行されています。現場で働く社員の声を丁寧に拾い上げ、写真や図表を交えてストーリーとして届ける編集方針が特徴です。
記事構成では、成功事例や苦労話に加えて、挑戦の過程やそこに至る思いも掘り下げられており、読者にとって親近感を覚える内容になっています。
丸紅の社内報「M-SPIRIT」は、季刊の冊子とWebサイトを組み合わせたハイブリッド運用が特徴です。その高い品質は経団連推薦社内報制度で複数回受賞するほど外部からも評価されており、グローバルに事業を展開する同社において、社員の一体感醸成とエンゲージメント向上に貢献しています。
株式会社アイシンのウェブグループ報「act」は、約12万人の従業員が利用できるアプリ形式で、双方向性の高いリアクション機能やコメント機能を実装している点が特徴です。社内報アワード2024でグランプリを受賞した「実は…このクルマにもアイシン」のような、社員の声を反映したコンテンツを通じて、従業員の会社への誇りやコミュニケーションの活性化に貢献しています。
DNPグループの社内報「DNP Family」は、インターナルコミュニケーションの活性化を目的とし、経営方針や社員の活躍、各部門の取り組みといった多様なコンテンツを、紙媒体とウェブ版の両方で提供することで、社員のエンゲージメント向上や一体感の醸成に貢献しており、その質の高い内容と企画力は、経団連推薦社内報の審査や「社内報アワード」といった外部コンクールでも高く評価されています。
西松建設の社内報「西松人」は、1930年創刊という長い歴史を持ち、現役従業員だけでなくOBにも配布されることで世代を超えたつながりを生み出しており、その質の高さは経団連推薦社内報審査において、複数回「奨励賞」を受賞していることからも伺えます。
カルビーの社内報「Loop」は、紙媒体とウェブ媒体を組み合わせたハイブリッド型であることが特徴です。この二つの媒体を使い分けることで、社員への迅速な情報共有と、企業理念や文化の深い浸透を図っています。
また、社内報アワードなど外部からも高く評価されており、単なる情報伝達ツールではなく、社員のエンゲージメント向上に貢献する重要な役割を担っています。
近鉄グループホールディングスの社内報「飛翔」は、グループ全体の結束とコミュニケーション促進を目的としています。多岐にわたる事業や社員の取り組みを共有し、一体感を醸成している点が特徴です。2017年には「経団連推薦社内報」で総合賞を受賞しており、外部からも高く評価されています。
近鉄グループホールディングスの社内報「飛翔」
について詳しく見る
豊田合成の社内報「TG TIMES」は、1957年創刊の季刊誌で、自動車業界の変化や経営方針、国内外のグループ会社の取り組みをタイムリーに発信する媒体です。経団連推薦社内報審査で雑誌・新聞型部門の総合賞を受賞するなど、その高い情報力と「One TG」意識の浸透が評価されています。
日清食品グループ社内報「KITCHEN OF THE EARTH」は、ビヨンドフードを掲げ、食の未来やグループ独自のESGの取り組みを伝える紙社内報です。社内報アワードで2020年企画グランプリ、2025年紙社内報グランプリなどを受賞し、理念浸透と一体感醸成に大きく貢献しています。
日清食品の社内報「KITCHEN OF THE EARTH」
について詳しく見る
中部電力グループの社内報「HUMAN ENERGY COLORS」は、中部電力・中部電力パワーグリッド・中部電力ミライズの従業員(OB・OG含む)向けに、毎月約3万部発行される月刊媒体です。グループの取り組みや社員の挑戦、男性育休など働き方・ダイバーシティ施策を特集し、社内コミュニケーションと一体感醸成に貢献しています。
中部電力の社内報「HUMAN ENERGY COLORS」
について詳しく見る
トヨタ紡織株式会社の社内報「Shuttle」は、紙媒体と社内イントラ上の多言語対応サイト「Web Shuttle」で構成された月刊社内報です。経営方針や現場の取り組み、働き方・健康情報などを発信し、国内外の従業員の理解と一体感を高める役割を担っています。
トヨタ紡織株式会社の社内報「Shuttle」
について詳しく見る
明治ホールディングスのグループ社内報「アメイジングファクトリー!」は季刊で発行され、現場の取り組みや挑戦を共有する媒体です。2024年度の経団連推薦社内報審査(雑誌・新聞型社内報部門)で企画賞を受賞しました。
明治ホールディングスの社内報「アメイジングファクトリー!」
について詳しく見る
三井不動産の社内報「&you」は隔月刊の雑誌・新聞型メディアで、社員の挑戦や仕事観を掘り下げて紹介し、部署を超えた理解と一体感づくりに役立ちます。制作開始から配布まで約2〜3カ月かけることもあります。経団連推薦社内報審査で2023年度に総合賞入賞、2024年度に企画賞を受賞しました。
創業者の稲盛和夫氏が大切にした社是をそのまま誌名に冠した社内報です。デジタル化が進む現代においても、製造現場を含めた全従業員へ確実に情報を届けるため、紙媒体での発行を続けています。
この社内報は、単なる情報共有にとどまらず、京セラ独自の「アメーバ経営」や経営哲学を浸透させるための教科書としての役割を担っています。その質の高さは外部からも認められており、経団連推薦社内報審査において総合賞や企画賞を受賞するなど、長期にわたり高く評価されています。
1964年の創刊以来続く歴史ある媒体ですが、近年はWebや動画を中心としたクロスメディア展開へと大きく進化しました。世界中の拠点で働く社員をつなぎ、組織内で「知的化学反応(イノベーション)」を生み出すことを目的としています。
テキストだけでは伝わりにくい情報を動画で直感的に伝えたり、記事から社員プロフィールへ直接アクセスできるシステムを導入したりと、DXを駆使した機能的な作りが特徴です。こうした先進的な取り組みは、社内報アワードや経団連推薦社内報審査のWeb・映像部門で数多くの賞を獲得しています。
清水建設の社内報「しみずまんすりー」は1936年創刊の歴史ある社内報です。
経団連推薦社内報審査では企画賞や総合賞を受賞するなど高い評価を受けています。しみずまんすりーの概要や歴史、受賞歴、社内コミュニケーションにおける役割を紹介します。
TT東日本グループのWeb社内報「webEAST」の概要や編集方針、主な受賞歴を紹介します。
2023年にリニューアルし「"つなぐ理由"をさがす旅」をコンセプトに掲げ、社内報アワードや経団連推薦社内報審査で高評価を獲得。Web社内報の企画・運営の参考にお役立てください。
日本全国や国外に数多くのフランチャイズ加盟店や関係企業を展開するダスキンでは、ダスキンに縁のある企業や団体などを「ダスキンファミリー」として、ファミリー向けの社内報「ファミリーマガジン」を発行しています。
明治25年創業の大林組では、昭和38年から60年以上にわたって全社員に向けた月刊誌「マンスリー大林」を発行しています。また時代の変化に合わせてウェブ版「デイリー大林」といった社内報を制作していることも特徴です。
祖業である物流にとどまらず、幅広い事業を展開するKONOIKEグループ。多種多様な現場で働く社員同士をつなぐ存在として、グループ報「K-style」が大きな注目を集めています。同誌は2025年度「経団連推薦社内報審査」にエントリーし、輝かしい実績を残しました。多様な人材が働く企業において、情報をどのように連携し、グループの一体感を高めているのでしょうか。読者の関心を惹きつける独自の制作体制や、工夫を凝らした誌面づくりの秘密に迫ります。社内広報や同社の取り組みに興味のある方は、ぜひ続きをご覧ください。
多角的な「まちづくり」を展開し、200社以上の企業・法人で構成される東急グループ。その従業員をつなぐ重要な役割を担っているのが、グループ報「とうきゅう」です。同誌はこのたび、社内広報の権威ある審査会で企画賞を獲得し、通算3度目の受賞を果たしました。業種や職種、雇用形態が異なる従業員一人ひとりに、グループの動向や理念をどう伝えているのでしょうか。読者を惹きつける独自の編集力や、誌面構成の秘密に迫ります。
3社に共通しているのは、社員が抱える悩みや不満、あるいはやりがいの声といったリアルを誌面で取り上げる姿勢です。
UACJのように低迷期にあえて本音を載せる例がわかりやすいですが、いずれも社員の率直な意見を無視せず、まずは雑誌として発信する場をつくっています。これによって、「会社は社員の声をしっかり聞いている」と思わせる効果が高まり、信頼を得やすくなります。
社内報が経営トップや役員のメッセージを載せること自体は一般的です。しかし、さらに大切なのは、「現場社員の具体的な事例」とセットで紹介し、「会社のビジョンと社員の仕事がどのように繋がっているのか」をわかりやすく示すことです。
リクルートの「かもめ」では、トップダウンの経営メッセージだけでなく、実際に社員がどのような行動をとり、どのように成果を出しているかを丁寧に取材・編集しています。これにより、読者は「なるほど、この仕事が会社全体の理念に通じているのだな」と納得しやすくなります。
紙媒体だけでなく、ウェブや動画、音声など、複数のチャネルを使って情報を発信する流れが加速しています。
このように各メディアの役割を明確にして、社員が多様な方法で情報を得られるようにすると、従業員同士の話題も広がりやすくなります。
リクルート、JFEスチールの事例で特に顕著ですが、大きな写真や見やすいレイアウトによって「読もう」という意欲を高められています。
社内報は業務中の隙間時間に読まれることが多いため、読者がすぐに要点をつかめるよう配慮することが不可欠です。図解やチャート、写真、イラストなどを活用しながら、堅苦しくなりすぎず、読み手に親しみやすい誌面を目指すことが重要です。
「読まれる社内報」を作るには、自社に合った質の高い社内報を作ってくれる制作会社を選ぶことが必要不可欠。ここでは、社内報のレベルアップを図ることを目的に創設された社内報の表彰制度「経団連 推薦社内報」の受賞企業の社内報を制作した社内報制作会社を、担当者のお悩み別に紹介します。



※選定条件:2024年4月3日時点、Googleにて「社内報制作会社」で検索し、公式サイトが表示される上位71社を紹介しています。71社のうち、社内報のレベルアップを図ることを目的に1966年に創設された社内報の表彰制度「経団連 推薦社内報」の、受賞企業の社内報を制作した社内報制作会社6社をピックアップ。その中で、以下の特徴を持つ3社を紹介します。
・太平社…印刷会社として創業し、雑誌や紙媒体の制作に精通した唯一の会社のため
※「経団連 推薦社内報」受賞参照元:太平社公式サイト(https://ssl.taiheisha.co.jp/products/internal.html)
・グラスルーツ…社内報制作のスキルアップ研修を行う唯一の会社のため(https://www.grassroots.co.jp/service/schooling/ https://www.grassroots.co.jp/shanaihou/about/index.html)
※「経団連 推薦社内報」受賞参照元:グラスルーツ公式サイト(https://www.grassroots.co.jp/reference/)
・ジーピーオンライン…カスタマイズができ効率化が叶う、且つ定額制で従業員数が増えても金額を気にせず長く利用できるWeb社内報ツールを取り扱う唯一の会社のため
※「経団連 推薦社内報」受賞参照元:ジーピーオンライン公式サイト(https://www.gpol.co.jp/blog/159/)