UACJ(株式会社UACJ)は、2013年に古河スカイと住友軽金属工業が経営統合して発足したアルミニウム総合メーカーです。統合により、旧古河スカイ出身・旧住友軽金属出身の社員だけでなく、中途採用者や海外拠点の人材も多く集まるようになり、多様な価値観をもつ大規模な組織となりました。
一方で、統合当初は企業風土やルールの違いから生まれる戸惑いや、文化のギャップによる混乱が社内に潜んでいました。製造現場の再編成、安全ルールの整合、システムの共通化など、統合の実務的な問題も加わり、社員にとっては不安が大きかったようです。
こうした状況を打開し、真の一体感を高めるために「インターナルコミュニケーション(以下、IC)」に注力する必要があると判断されました。その一環として、統合と同時にグローバル社内報『ALUMINIST(アルミニスト)』を創刊し、日本語版9000部・英語版300部(現在はタイ語版も追加)を発行する形で、多拠点・多言語にわたる社員への情報共有が図られています。
当初は「社員同士の相互理解」がテーマだったようですが、その後、ビジョンや経営方針の浸透を重視する編集方針にシフトし、「社員の意識と行動を変えていく」役割を担うようになりました。具体的には、判型をA4からB5へ変更して「家族とも読みやすい形」にする、挑戦する社員を紹介する特集企画を設けるなど、社員が自分ごととして読みやすい工夫を重ねています。
結果として、『ALUMINIST』は国内外に散らばるUACJグループ社員の意識をまとめるツールへと進化しました。2017年以降、「経団連推薦社内報審査」において特別賞や企画賞、総合賞などを受賞し、2023年度には雑誌・新聞型社内報部門で優秀賞を獲得しています。
UACJがインターナルコミュニケーションを強化する過程で、大きな注目を集めたのが経営成績の落ち込みがあった時期(2018年頃)に発行された特集です。そこでは、組織内のモヤモヤした不満や疑問を徹底して集め、あえて率直に誌面へ掲載する試みが行われました。
アンケート(ESサーベイ)で社員の本音を集めると、厳しい意見や不満が大量に寄せられたそうです。従来であれば社内広報の場でこうした声を掲載することはリスクがあると判断されがちですが、UACJでは「本音をきちんと拾い上げることで組織の空気を変えよう」という方針がとられました。深夜ラジオ番組を模したデザインや、ユーモアのあるキャラクターを登場させる構成で読みやすさを確保しつつ、社員のリアルな声をそのまま誌面に載せたのです。
しかし、それだけで終わるのではなく、同じ特集で構造改革プロジェクトを紹介し、「実際に行動している社員の声」を併せて伝えました。社員の不満や疑問をガス抜きとして吐き出すだけでなく、「この課題を一緒に変えていくにはどうしたらいいか」を示した構成にしたのです。その結果、読者アンケートでは高評価を得ただけでなく、「経営層からも前向きな賛同を得る」「社内報アワード2020でグランプリを受賞する」という大きな反響がありました。
ここで見えてきたのは、「ネガティブな本音こそ、正面から取り上げる意義がある」という点です。社員が本心で思っていることを共有し、そこから具体的な改革のストーリーを提示することで初めて、経営方針やビジョンとの接続がリアリティをもって感じられます。UACJは、この取り組みを契機として、組織全体の風土改革や課題解決の一歩を踏み出しました。
多様な社員の声を拾い上げ、一体感と行動を生むUACJの社内報『ALUMINIST』。複雑な編集設計やデザイン、言語対応まで求められるため、こうした質と効果を両立したいなら、専門の制作会社への依頼がおすすめです。
社内報制作会社を選ぶ際は、対応範囲や制作物の種類だけでなく、自社が社内報で何を実現したいかを整理することが大切です。発行までの制作体制を整えたい、発信後の反応を把握したい、経営層や社員の想いをより伝わる形で届けたいなど、重視したいことによって選ぶべき会社は変わります。
ここでは、社内報で実現したいことに合わせて、おすすめの制作会社を紹介します。


